緊急取調室 第8話

　２１話のキルラキルを見ていて、子どもの頃見たことのあるアメリカンクラッカーという玩具を思い出した。
　父子家庭なので家では留守がちのパパリンの代わりに主婦代わりをやってたchikaが、ある日押し入れを整理してたら、先端に二つのボールがブランコのみたいに付いた肩叩き器具のようなものを見つけた。
　パパリンにこれの説明をしてもらおうとしたら、説明の代わりに肩叩き器具の中心軸の柄の部分を持って上下させて見せてくれた。
　ブランコ状に取り付けてあるボールは、振り子の要領で柄の上下運動に反応しながら、それぞれが軸を中心に半周し、上と下でぶつかってカチカチと音を立てた。
　パパリンがやってみるか？という顔をしたので、chikaも見よう見まねでパパリンと同じコトをした。
　二つのボールを繋ぐ中心軸でもある柄を激しく上下させればさせるほど、ブランコで繋がれたボールは活きよい良く半周し、その上と下で出会うもう一つのボールに強く衝突する。
　するとボールは柄の動きだけでなく、この衝突の時に得られる反発力で、半周する回転力を更に増加するのだ。
　そして激しい衝突音が寸断なく続く、、意味なく、興奮した。特にテクニックも必要ない、この遊びというか、行為自体に何の意味もないのは子供心にも判ったが、それでも暫くは魅入られたように止められない、それは単純さ故の麻薬的な魅力に満ちていた。
・・でも、暫くやったらすぐに飽きた（笑）。
　大人になっても今まで何も思い出さなかったくらいだから、そうとう無意味な流行（はやり）ゲームだったんだろうと思う。
　気になってネットで調べ直してみたら、日本でのブームもあっという間に終わったらしい。アメリカンクラッカーの原型は二つのボールをひもで繋いだだけのモノらしいから、本家は少しテクニックが必要だったらしいが。
　パパリンはこの改良型のモノを、どういう過程だったのか知らないが手に入れ、すぐに飽き、押し入れのガラクタ入れの中に放置したままになったていたのを、chikaが見つけたというわけだ。（一体何年前のだ、掃除しろよな）
　随分長い話になったけれど、アメリカンクラッカー自体、やっている最中は、軽く興奮するのは間違いない。ビニールのプチプチを潰すのが止められないのと同じかな？かなり人間の原初的な感覚にくるみたい。
　でキルラキルの面白さだけど、構造的にもこのアメリカンクラッカーによくにてる気がしたわけ。
　物語自体の展開は、冷静に考えていくと、「血も涙もある人間」が織りなすストーリーとしては不自然な事ばかりで、クラッカーの二つのボールを激しく打ち合わせるために、軸の上下運動という非常に単純な事を、短いサイクルで繰り返してるだけみたいなんだよね。
　「唖然とするような怒濤の展開」も、裏を返せばこの上下運動に他ならないわけ（笑）。　例えば流子が生命戦維と融合した人間である「必然」は、彼女の戦いの相手を増やし、その高ぶりをより鮮烈に見せるための舞台装置作りの為にあるのであって、物語が一つの結末を迎えるに当たっての「避けられない過程」じゃない。

　脚本上の自己完結型マッチポンプとゆーのか（笑）。
　・・あっ、断っておくけど、キルラキルに関して言えば、この手法を批難してるわけじゃないので念のため。フォーゼは完璧にアウトだったけどね。
　
　まあずいぶん、キルラキルの話が長かったけど、ほんとはこれキントリの感想なんだよね（笑）。
　キントリも次週で最終回、キルラキルの脚本手法と正反対だったなーと思ってアメリカンクラッカーの話を持ち出したんだけど、実をゆーと、ラスト２話で本筋の隠蔽話をやつけちゃうんだから、「綿密な構成だった」ってベタ褒めする気が、ちょっと萎えて来てるんだよね。
　ＴＶドラマや映画では、脚本や演出で意識的に仕込んだシカケで、どんでんやったりするのは凄く簡単なんだけど、それって「物語」として自然な流れが組み上げきれてない時にやると、なんだか見てる方は凄く違和感感じるのね。
　そうゆーのをかなり抑えて作って来たワリにはドンデンが多かったドラマだと思ったんだけど、急にバタバタし初めた感じ。
　やっぱドラマの前半４話くらいまでは「緊急取調室」ってゆー密室ゲーム設定に縛られすぎたのかも。この最終回に持ってくるんなら、「夫」関連でせめて後、４話位は欲しかったよね。
　小石川の元部下を殺した犯人が何故、手帳を持っていかなかったのか？超単純に口封じ？この疑問ってちゃんと伏線として機能するんだろうか？とか色々心配になって来てるし。
　エピソード中、３話くらいは、ア○ル2段締め、、違ったまともな２段階のドンデンをやってのけてるから、最終回は視聴者の予想を大きく裏切った展開になると面白いんだけど、、。
さてどうなることですやら。

おーと出勤の時間がぁ、遅刻だぞー！