仮面ライダーウィザード 第51話 最後の希望

　前半、「真由・譲・山本」の三人が彼らの健全な判断力を見せ、東京都民の危機を救うべく「魔法使い」として結集したのは、普通に「良かったぁ」と思いましたよ。
　そしてコヨミを失って呆然としている晴人を気遣いながら、賢者の石を手に入れたグレムリンの暴発を恐れ、魔力を失いないながらも、それを防ごうとする仁藤の男気もマル。

　でも肝心の晴人が、なんだかねー。
　この期に及んで、引きこもりモドキかよー。
　なんで晴人をこんなヒーロー像に設定しちゃったわけ。

　コヨミを巡って、ポジとネガみたいな晴人と笛木、まだポジならいいけど、晴人ってポジってゆーより「半ポジ」って位置づけになってたし。
　おまけに実質最終回であるこの回でも、しつこく晴人の「俺はコヨミを救う」のミスリード、、、こんなの必要なの？超、不思議。
　「ああ良かった、やっぱり晴人は、自分一人でサバトをひらいてコヨミを取り戻す程、狂ちゃいなかったんだ」って視聴者に安心させる為なの？
　いまだかってそんなヒーローっていたっけ。
　最大の山場であるサバト回で、大活躍して問題を解決するのは主人公の役割だった筈なのに、それをやったのはビーストで、その時、晴人は半分自らの意志でコトもあろうにサバトの人柱になってたんだよな、、。
　こんなの妙に話をこねくり回さなくても、晴人と仁藤が二人で補完し合ってサバトを消滅させるとかやろうと思えば何とでも出来るじゃん。

　そんなに晴人のコヨミに対する「妄執」を描く必要があったわけ？もしからしらた「妄執」じゃなくて「愛情」とか「絆」を描きたかったのかなぁ、でも、そんなふうに見えないよ（笑）。

　晴人やってるコトは笛木と似たり寄ったりだもん、だから最後まで今まで付き合ってきた輪島のおっちゃんにまで「コヨミ、コヨミって、コヨミはもう死んだんぞ、お前、大丈夫か？」って疑われちゃうし、そうゆー台詞を脚本に書かざるを得ないんでしょ。
　それとソラの東京都民皆殺し作戦だけど、サバト消滅回で東京都の魔力はキマイラに全て食い尽くされたんじゃなかった？

　でそんなご都合でこさえた「ソラvs晴人」なんだけど、コンセプトは今まで繰り返されて来た「君と僕とは一緒でしょ？」論争。

　でもさ、視聴者の方も、世界の危機よりも、個人的な繋がりで戦うこんなヒーローに「俺はお前とは違う」と言われても説得力がないよね。

　違いは脚本上で考えた理屈上の「魔法使いか、なりそこねファントムか」じゃなくて、人間性の問題としか思えなくて、それってつまり「殺人鬼かヒーローか」ってコトなんだけど、晴人なんて、コヨミのお陰で最後は崖っぷちまでダークサイドに行きかけてたからなぁ。
　ヒーロー適性は仁藤の方が数倍ある。

　色々なタイプのヒーロー像を造ったり見たりするのは、仮面ライダーを見る創るの楽しみの一つだけど、今回の晴人って、ホント、「なんの意味があるの？」って感じ。

　晴人の「自己再生」の物語でもないし、単なる造形上の勘違い・失敗でしょ。
　で次回はせっかくバイクで旅立つ仮面ライダーなんて「いかにも」で締めくくって置きながら、「おまけ回」で、しかもディケイドワールド（笑）。

　脚本が會川昇氏だから、おまけの方が本編より面白かったら、どうすんだヨー（笑）。
　まあ、この構成、見てもなんとなく制作スケジュールに色んな事情があったんだろうと思うし、それできだ氏が、自分でも不本意な脚本展開したんだとすれば同情する点が多いんだけどね。

　ほんと最初、仮面ライダーウィザードは期待していた作品だっただけに、残念でした。