大切なものは 敗者達
見終わった後に酷い「徒労感」を感じたのが仮面ライダーウィザード。
実質的には最終回前のタメに当たるこの回で、この感想、、。
平成ライダーにも出来不出来があって完結後の評価も様々なんだけど「徒労感」を感じたライダーは初めて。
一体この一年間をかけて何をやって来たんだろうとゆー。
皮肉にもこれは、主人公である晴人達が笛木の個人的な妄執という手のひらの上で転がされ続けてきたというウィザードのプロットと相似していて面白い(面白くねーよ)。
ネットでは「(笛木によって用意された四人目の魔法使いである)山本さんが、しごくごもっともなコトを言ってた」ってゆー声が大半なんだけど、普通の価値判断を持つ人間ならそー思うよね。
もっと言えばそれが一般人の「罪と罰」の関係であり、そこから派生するのが正義ってことになるんだけど、そんな山本さんに足蹴にあしらわれてるこの状況、そしてこの状況以降から戦いに出向いていくヒーローって一体何?って話なんだよな。
ヒーローものとしての物語は、ビーストによるサバト強制終了にで大団円を既に迎えてしまったんじゃない?
今後の晴人の戦いって極個人的な、あえて言えば笛木が自分の娘に見せた妄執に近いレベルだよね。
「死んだモノはかえって来ない」その現実を二度死ぬことになったコヨミでさえ受け入れているのにさ、未だに晴人はそこから抜け出せないんだよ。
第一、きだ氏が山本ってゆー登場人物に、こういう台詞を吐かせるってコトは、山本の見方が一般的なんだってコトは理解できているわけで、その上で更に物語を引っ張っていこうとする意図が見えないんだよね。
まあこれに近い展開は、仮面ライダーカブトの天道とひよりに描かれていたような、気がするけど、あれとも感じがかなり違うよね。
「おばあちゃんが言っていた。例え世界を敵に回しても、守るべきものがある」って例のあれ(笑)。
実をゆーとchikaはこの展開にかなり不適応を起こしていたんだけど、それでも制作側サイドが何かを伝えようとしているのは解った。
実は自分自身がワームだった仮面ライダーサソードこと神代剣と、彼の正体を知りつつ彼を守るじいやとか、既成の価値観という枠組みを超える「絆」の強さに拘る姿勢みたいのがあちこちの設定であったからな~。
仮面ライダーカブトの最終テーマが、既成の枠組みを超える個人的「絆」なら、仮面ライダーウィザードは既成の枠組みからこぼれてしまった個人的「妄執」ってコトになるのか。そんなのありえね~、もう救ってやれば、きださん、晴人が可哀想じゃん。
ってコトで、本気で駄目な脚本ってのは、見てる人間に少なからずダメージを与えるもんだと意外な発見をしたんですが、「進撃の巨人」でこのダメージは相殺ですね。
いやーこのアニメドラマ本当に良くできている。
敗走する調査団を追いかける巨人達から距離を稼ぐために、せっかく回収した仲間の死体を荷馬車から捨てるシーンとか、最近のアニメやTVドラマじゃ敢えて挿入しないでしょ。
負傷したエレンが荷馬車に横たえられたまま壁内に帰還し人々の罵声を聞き、そんな中、自分たちを憧れの目で見る子どもの姿を見て、ただ悔し涙を流すシーンも、さりげに挿入されているんだけど、これも結構ぐっと来ちゃった。
構成がかなり小説に近いんだけど、ちゃんと「巨人対立体機動」ってまさにアニメ的強みのアクションシーンを軸に持ってるから、ビジュアル的に飽きるってコトもないしね。
最後の「今回の壁外遠征に掛かった費用と損害による痛手は、調査兵団の支持母体を失墜させるに十分であった。エルヴィンを含む責任者が王都に招集されると同時に、エレンの引渡しが決まった。」のナレーションがすごく効いてた。
承・転・承・転のうねるジェットコースター、まさに長編冒険小説的展開だね。
でもこのナレーションに軸があるなら、今後、「進撃の巨人」の政治的勢力図がもう少し明らかにされて、そこに若干、舞台が移るんだろうか?
それに女型の巨人が絡んでくる?
確かに今回の壁外遠征調査を襲撃した女型巨人の目的は、一にエレンの捕獲、二に壁外遠征調査自体にダメージを与えるコトにあったような。