saienji's blog プププのプゥだぜぃ

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

後藤象二郎の描き方

龍馬伝」、黙って見てる分には充分に面白いんだからグダグダ文句言ってないで素直に楽しめばいいんだけど、いつもなにか大なり小なりの「違和感」があるんだよな。
ある時は劇画過ぎる演出方法だったり、フィクションかノンか視点を定めない狡い脚本の馬脚だったり、あるいは役者さんの演じ方だったり、、良いとか悪いではなく、好き嫌いでもなく、「違和感」って奴。
今回の「清風亭の対決」の違和感は後藤象二郎。(青木崇高君の演技がドーのとゆー話ではないです、念のため)
ずーっと前から後藤象二郎をあそこまでエキセントリック&ファナティックにとゆーか、べたに言えば「悪役」にしておいて、龍馬とどーやって手を結ばせるつもりなのかって書いてきたんだけど、先週あたりの後藤象二郎の言動から、吉田東洋を回転軸にして、龍馬と象二郎が結びつく形になるんだって予想してた。
この作品では、象二郎は自分が心酔する東洋に愛されたいという反動から、東洋が関心を寄せた龍馬を嫉妬したように描かれているし、又、東洋を殺害した「者たち」の側に龍馬がいることは明白で、それが象二郎の龍馬に対する憎しみになっていた筈。
逆に言うと、「東洋が認めた男」としても龍馬は象二郎の目に映っているわけで、象二郎自身が東洋の死によってその呪縛から解き放たれれば、(言い換えれば人間的な成長を成し遂げられれば、)彼の目には新たな「東洋が認めた価値ある男」としての「龍馬」が見える、、、って感じ?
先週、弥太郎が苦し紛れに「龍馬は東洋様がお認めになった男ですきに」と口走った時の象二郎の表情の変化で、上に書いたような象二郎の意識変化を追いながら今回はこの二人の結びつきを描くんだろうと。
でも実際は、なんちゃーよーわからん内に、二人はシェイクハンドしちゃいましたね(笑)。
確かに演出的にはハラハラドキドキの大盛り上がりだったんですけど、(なんかやくざ映画に登場する、波乱含みの手打ち式で度胸の据わった主人公が大見得切ってる構図にそっくりなんだけど、これを歴史物の大河でやられると、何故か斬新に見える)なんだか龍馬と象二郎の二人の言葉や表情が踊りまくってるだけで、内面の動きが何も判らない。
特に、象二郎が「よっしゃー!わかった!」って言ったときには「へっ?」って感じ。
さすがに「口さき龍馬」との付き合いは視聴者として長いので、こちらも龍馬が十分説得したら一分間ぶんくらいの内容を想像できるようになったんだけど。後藤象二郎の虎の表情見てて、彼が頭を働かせながら大人の決断を下しているようにはどーも感じられない。
でも一番、判らなかったのが、龍馬の目からでてた水みたなの、、あれはなんだ?涙なのか?一体なんで泣いてるんだ?それで象二郎の心がぐらりと揺れたのか?いやそれにしてはタイミング合ってねーぞ象二郎。
それに一旦、土佐藩士と亀山社中の構えた刀を納めさせておいて、なんで今度は自分で刀を抜くんだ?
それで二回目の抜き身の睨み合いが起こるのは当たり前、で又、象二郎、「双方、刀を納めーぇ!」だもんなぁ。、、、意味判らんよ。
「これは儂と龍馬との真剣勝負の場じゃおんしら邪魔すんな」ってわけ?

これって多分、史実からそう遠くないところの展開をなぞってるってゆー安心感からくる演出過多なような気がするなぁ。
史実が象二郎と龍馬が清風亭で会見したらしいぐらいの事しか語ってなかったら、逆に、、慎重な話運びと演出になってたんだろうなと。
実際、この時の事を連絡した龍馬に対して姉のお乙は「土佐郷士の敵である象二郎に騙されるな」とか言ってるらしいし、逆に龍馬は「俺らだけじゃ、なんともならんから土佐を巻き込むんだよ」って言い返してるみたいだから、脚本上の話の流れはほぼ史実通り。
違うのは象二郎像、真・龍馬曰く「見識があって大局が読める人物だったから、これまでのしがらみを捨てて話が進んだ」んだそうで、、。
ドラマでは龍馬が象二郎が「見識があって大局が読める人物かどうかを確かめに行く」のだし、青木・象二郎は、ドラマの中でそんな人物として描かれた事は過去一度もなく、いつも弥太郎を虐め、過去には以蔵と半平太を、お前はダークなホモサドかっていう程虐めてたし(笑)。
実際は土佐藩が生き残るために象二郎が、有力なネットワークを持っていた龍馬に「バーター」を持ちかけたのが実像なんだろうけど、それでもこの青木・象二郎に実像をシンクロさせるのは無理。
こういう演出上の登場人物造形を、史実の流れにどう納めていくかってゆーのが気になって仕方がないわけ。
特に幕末動乱って時期は、これらの傑出した人間達の人間力そのものがぶつかり合って展開していくわけだろうから、そういう意味での整合性がないと、、ってついついchikaなんかは思っちゃうわけ。
マフィアの抗争を扱った映画じゃないんだからさ、いくら面白くたって、そこまでせんでええやろーみたいな。
龍馬の理屈と行動は「おもろい大河」の為の免罪符か?みたいな。
だから龍馬が言ってる事は判るんだけど、その背景を描く事を省くから腑に落ちない、、ってそれはいつもだけど、今回は象二郎のリアクションが腑に落ちなさ過ぎなんだよね。
そのくせ、見てると確かに「面白い」。
たちが悪いよな、これって(笑)。

で次回は「高杉晋作逝く」の巻。
今回のと同じで、もうわけもなく、無茶苦茶盛り上がるんだろーなー。
次回予告シーンの数秒だけで泣けてきそうなんだもん。

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!