saienji's blog プププのプゥだぜぃ

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

判りやすいサービス

saienji2005-03-21

相方と一緒に山代温泉へ出かけた。時間をやりくりしてって感じだったので、電車を使った遅出早帰りの1泊旅行。
思うことも感じることも少ない、なんだか消化試合みたいな旅だった。ただ、行きと帰りの電車の中では最近になって少しずつ読み始めた「海辺のカフカ」がたくさん読めたことが嬉しかった。
今は文庫本の形で上巻を読み終えて下巻に入り、カーネル・サンダースが登場して「入り口の石」がナカタさんの枕元に置かれた所まで読み進めている。
大島さんがFTMじゃないかという予想はかなり当たったみたいだし、少年とナカタさんが2重の存在じゃないかという予想はどうなるかまだ判らないんだけど、少なくともこの二人が四国で接近しつつあるのは確かみたい。
それが予想の少し当たっている部分。、予想が当たらなかったのが「海辺のカフカ」は今までの村上作品の焼き直しで再構成されておりそこには新しさがないと思っていたこと。
・・・ジョニー・ウォーカーが猫を殺していく描写やナカタさんが彼の胸を刺すシーンが正確に淡々とスピードを落とさす書き込まれているのを見て、村上春樹が「暴力」の観察者である事を止め、物語の書き手の主体としてそれらに関わる事を鮮明にしてるように思えた。

アフターダーク」を読んだ時、もう村上春樹は若い世代を主人公にして彼の世界を生み出すことに無理が出始めているような気がしたけれど、「海辺のカフカ」の設定ならまだ大丈夫、そんな気もした。
それに少年の肉欲やセックスシーンがすごくビビッドに描かれているのには、ちょっと参りましたって感じ。とにかくこんなに登場人物をばらまいておいてどう収束するつもり(いやその積もりがあるのかどうかさえ疑問だった)なのかって思ってたけど、ここまで読み進めてみるとパズルピースみたいに全部の登場人物がある意味を持ってはまり出すんだからちょっと吃驚。
これは「海辺のカフカ」の表題が女性館長佐伯さんの若い頃のヒット曲名だったり、その歌詞自体に謎解きのヒントがあったり、村上春樹ってこんな風に「判りやすいサービス」もするようになったんだ!!ってのも収穫でした。

ところで山代の帰りに芭蕉の「石山の石より白し秋の風」で有名な那谷寺に立ち寄りました。お寺って一回行くと充分って感じなんだけど密教系のお寺は面白いですよね。ここも 奇岩遊仙境があったりして、でも一番好きなのは苔にボタンの花弁が落ちているあの感じかな。

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