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ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

真田丸 第22回 「裁定」

 映画の「清須会議」みたいに、沼田裁判自体がガッツリ描かれるのかと予想してましたが、そうでもなかったですね。
 戦争回避ドラマ?ってか、もうちょっと精密に言うと戦争不可避ドラマみたいな感じですかね。

 今回のエピソード見てて「清須会議」よりは、同じく三谷氏の「笑いの大学」の方を思い出しちゃいました。

 特に三成が、「その沼田が火種となるのだ!」と言い切って昌幸を説き伏せる辺りから、沼田を出しにして北条を平和的に豊臣に恭順させる三成作戦が、利休の甘言もあって秀吉にあっけなく引っ繰り返され、「戦争はこうやって起きる。こうやって戦争は起きて、それでこうなると、もう誰にも止められないんだ!」と信繁に怒りをぶちまける流れね、、。

 三成って「笑いの大学」での検閲官・向坂睦男にちょっとニュアンスが似てる。(向坂睦男自身がばりばりの国家権力の末端である事も含めて)

「笑いの大学」も、結局事態が激変する事もなく、作家・椿一に召集令状が届く所で話が終わるのも良く似てる。

 そう言えば信繁に「こうして我らがやりあうことで真の戦をせずに済む」とちらりと本音を漏らした江雪斎もそうかな。

 結局、江雪斎も主君の判断ミスには逆らえず苦汁を飲んでいくわけだから。
 って事で、今現在の世情を見てると、三谷氏がこういう展開をもう一度、結構拘った形で、ドラマ展開して見せたのは、それなりのメッセージがあるのか知らん?と思ったりしてます。

 いえ、三谷氏の政治的立場は知りませんし、たぶんタイプ的には政治的な発言はしないと言うか、作品を見てる限りにはそういうモノを信用しないタイプの人だと思うんですが、それでもやっぱり、この人が時代に共振しないわけがないと思うんですよ。

 

 所で、真田丸批判の中心に、「これは現代劇であって時代劇ではない」というものがあると思うんですが、三谷氏が歴史オタクで、特に真田丸が描かれた時代に詳しいというのは有名な話です。

 で人が歴史にのめり込むのは、そこに「人」を見るからでしょうね。そしてその歴史オタクに、卓越した作劇能力があれば当然、歴史上の人物を自分の作品の中で「生き生き」と再現しようとするでしょう。

 そんな作品を見る側にとって、好みが別れるのは、この「生き生き」の中身、「この時代の人間の価値観から言うと、この発言、この人間関係はあり得ない。解釈が違う」とか、歴史の再現性に拘る人は、三谷脚本って凄くイラってするんだろうと(笑)。

 確かに、今回のエピだって、片桐且元が秀吉の前で、掛け軸パワーポイント使ってプレゼンまがいの事やろうとして「話が長い」と秀吉社長に一喝される場面は、ちょっと遊び過ぎだろうとは思うんですが、三谷さんの真価ってソコにあるんじゃないんですよね。(まあ、そんな小芝居で悪目立ちしすぎる所が三谷脚本のネックだろうけど)


 例えば「生き生き」の中身として、今までの大河ドラマの中で、これほど「使い捨てキャラ」が少ない構成はあまりお目にかかれない。

 全てのキャラの出番が均等にあるって事じゃなくて、露出が少なくても、その人物がちゃんと「生き」てそこにいる。

 これ凄いことだと思うんですよ。

 視聴者はそれを当たり前だと思って見てるんですが、並の脚本ではコレ、絶対書けない。
 例えば今回のエピで見せた、真田寄りの秀次裁定で「おっ、意外、秀次って、ただの天然いい人じゃないんだぁ」って、彼の人気が急上昇したと思うんですけど、それもその一つですよね。

 でもこれは逆に言うと、最初から北条を攻めたくて攻めたくて出走前の競馬馬みたいにうずうずしてる秀吉の真意なんか全然気づかない秀次のボンクラぶりを現してるわけで、ここが後の秀次悲劇に繋がるんですね。

 秀吉の真意を見抜いて、必死になって戦争防止の為に先回りする三成の「能力」を秀吉はそれなりに重宝してるから、一応、北条攻めのタイミングを計る一端として、三成の事をみてるし、使える内は簡単には切り捨てない。
 でも秀次はどうかと言うと、秀吉の関心が世継ぎが生まれた時点で茶々から「お捨」に完全にシフトしたように、いくら能力がそこそこあっても自分にとって利用価値のない「使えない奴」はもういらない。
 そこまでの事を、一人一人のキャラを「生き生き」させる事で描けるんですよ。これホント並の才能じゃない。
 本多忠勝の加勢を毅然と断った信幸対応も、普通に見てると「ええ話」で、これだけも脚本としては優良ポイントなんですが、後に家康側につく信幸の事を考えると、そんなに「ええ話」だけで三谷脚本が直球勝負してるワケじゃない。

・・・うーん、凄いな三谷脚本。

 ってか所で次の大河って何だっけ?柴咲コウ主演の「おんな城主 直虎」か、、。で、脚本が森下佳子氏。
 前に「真田丸」があるとしんどいだろうなぁ。

 上手さとか歴史解釈で競ってても三谷脚本に勝てないだろうし、独自色ってか、NHKのスカみたいなマーケティングに影響されずに、自分の色を最大限出すしかないだろうなぁ。

 

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