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ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係第9話「越境」(終)

 「潔く・キッパリ」とやるドラマ作りだと思ってたけど、まさかここまでやるとはなー、、。

 前の感想で「最終話は最終話としてのクオリティで仕上げて欲しいものです、それがBORDERらしいってもんです。」とか書いたのをちょっと後悔してます。何で?って、続編が見たかったから。
 話の流れからすると、もうここまで来たら石川が自分自身で「転落」を食い止める事は出来ないだろうから、同僚の内誰かが彼に救いの手を差し伸べるんだろうと思ってたんだけど、その筆頭候補である比嘉が「あなた、死者が見えるんでしょ」とまで言っときながら、あっさり三振しちゃうし。

 まあ、あんな「走り」で、斎場から激情に駆られた石川@小栗に出ていかれたら、モデルが追いつけるわけないとゆーか(笑)、あのシーンもなんか凄く象徴的でシュールなカット割りでしたな、なんとゆーか石川が自分自身で、「こっち側(比嘉側)」から全速力で「向こう側」に走り去っていくってか、そんな感じ。
 それに便利屋スズキとかサイモン&ガーファンクルとか、おまけに赤井まで裏社会の連中たちが、今回は「商売抜きで応援してるから」とか言えば言うほど、石川自滅を加速させてるワケやし。

 まっ、こんな状況になったら、たった一人死者の声が聞こえる正義感あふれる人間は「俺は絶対正義の遂行者」として生きる!って思わざるを得ないよな。
 更にその上、前回の「決断」のエピで石川が証拠固めの為の「弾丸摘出」に踏み切るどころか、それを犯人をおびき出す為のフェイクに使った時点で、既に「俺はこの能力を刑事として使い続ける」って、それこそ「隠れ決断」してたワケなんだよね。
 でも石川ってそんなに頭の悪い人間じゃないから、自分がダークサイドに転げ落ちる危険性があるのも承知はしてるんだけど、被害者に共感する余り、どこかで自分自身が一線を越えるんじゃないかという諦めも同時に感じ取ってたみたい、、ってかそーゆー石川を演じた小栗旬がえらいてか、演出がよかった。
 それにしてもボーダーを超えるってゆーテーマが大きかったなぁ。 たぶん一番重要なのは、始め石川に自分の無念を晴らしてくれと頼んでいた死者達が、石川の奮闘ぶりを側で見ていて最後はあっさりと「ありがとう」と言って引き下がるのに、生者である石川は、犯人を追い詰める事が出来なかった無念の思いから解放されないでいるって事なんだろうな。
 死者が何かをきっかけにして自分の運命を静かに受け入れられるのに対して、生者である石川は、現実の理不尽さをどうしても受け入れられない。

 まあドラマ中では、それを「見てはならないものを見てしまう」人間の辿る道だと説明しているワケなんだけれど、(本当は死者でなくとも、純粋すぎる人間には「真実」が嫌でも見える)結局そんな石川は、安藤を突き落としまうのね。
 人を殺した時点で正義も悪も同じものになる・・その事は、判っていた石川の筈なのに、、。(石川の胸の奥を突き破るような悔恨の演技、小栗旬も凄かった)
 石川が「越境」してしまうのは、凄く自然な流れで、これが簡単に止まれるような世界観なら、BORDERというドラマは最初から成立していなかったと思うのだけれど、でもこの結末が現在のドラマ作りの潮流からは特異なものであるのは確かで、そこをあえて踏み切って、この全体の流れと最終回で話を構築した脚本・制作陣が素晴らしかったという事なのかな。
 最終回を見終えた直後は、しばらく呆然としてたんだけど、時間が立つとなんだか書くことが、次ぎから次に思い浮かぶ不思議な状況、、でも思うままに書いてると返って自分自身が混乱しちゃいそうだから、今日はとりあえずここまで。

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