saienji's blog プププのプゥだぜぃ

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

藁の楯

 「チカ、ご贔屓の三池監督の映画、DVDあるよ。どうせ映画館なんて行けてないんやろ」と有りがたい弟の言葉。

 早速、「藁の楯」を借りて見てみたら「なにーこれー!三池監督、最後まで真面目に撮ってるじゃん!」とチョー吃驚。

 ホント、例によってどこかで「崩し」を入れる筈、って期待しながら見てたんだけど、最後の最後まで正統派のサスペンスアクション超娯楽作に仕上がってた。

 でも「匂い」は、やっぱり三池監督独特、、誤魔化せないねぇ。

 神箸正樹が新幹線の中で、暴力団員らしき男達と拳銃突き合わせて、眼の飛ばし合いをするシーンの気合いだとか、清丸国秀が自分を守ってくれる銘苅に対して、妙に懐いてしまう微妙なホモ臭さとか(笑)。

 特にラスト辺りで、同じく身辺警護に当たっていた部下の白岩篤子を清丸に殺されてブチ切れ寸前になった銘苅が清丸をボコにするシーン、あれは凄かったなぁ、、。

 多分、表面的には「人間のクズは(職業倫理において)守る価値があるのか、ひいては人は人を裁けるのか」みたいなテーマなんだろうけど、三池監督がまさぐってるのはもっと「深い」ってゆーか、グチャグチャの部分なんだろうと思う。

 なんで清丸が藤原竜也なのか、なんで銘苅が大沢たかおでないといけないのか?このシーン見るまでは、なかなか腑に落ちなかったんだけど、まだ美少年の面影を残した藤原竜也の口が血だらけになっているアップシーンだとか、大沢たかおの顔が頭に昇った血でパンパンに膨れあがり、唾を吐きながら怒鳴り上げる様とか見てて「なるほど」って思ったよ。

 狂気と狂気が倫理を挟んでギリギリに対峙してる様を、死に至るセックスに近い暴力で見せる構図みたいな。

 それにやっぱ大沢たかおって、あんなガタイしててお姉臭があるから(笑)。

 藤原竜也もね、多分、ただ単に狂気に取り憑かれた男を演じさせるだけなら藤原竜也以外の男優さんがやっても、それらしい演技をすると思うんだけど「一見して普通、でもやっぱり異常、異常なクセに何処かまだ人間らしい心が残っているんじゃないか」みたいな「振れ」は、他の人では出ないんじゃないかな、どこか透明で清潔感のある狂気を感じさせる藤原竜也だから出来るみたいな。
 脚本で言うと、山崎努演じる蜷川隆興の最後の台詞「死んでいった者は言葉を持たない」も良かった。銘苅の妻が残したと言う「言葉」と対になってるんだよね。

 でも三池監督にしたら、ホントまとも過ぎだなぁ(笑)。


PS この映画も原作本があるみたいだけど、これは映画で十分な気がする。ってか映画でないと駄目かも、、。

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