saienji's blog プププのプゥだぜぃ

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

仮面ライダーカブト タイヘイ

お勤め明けのフラフラする頭でなんとか仮面ライダーダブルをリアルで見ようと頑張ったら、なんと、今朝はサッカーのW杯南アフリカ大会放映の為、放映が中止だったってこと忘れてた(笑)。
でchikaはサッカーなんてなーんも興味がないのでパス(とゆーより例によって例のごとくサッカーごときで地球の終わりみたいな勢いで大騒ぎしまくってるマスゴミに煽られたくないので。)でも今更、ベッドに入るといつものリズムが狂っちゃうので、今日は、以前から少し触れてきた大魔神カノンの感想をば。

ってこの番組、視聴率も「そんなにも」だろうからウィキペディアで、あらすじを抜粋しておきます。

山形から上京してきた田舎娘・巫崎カノンは、ある出来事により心に深い傷を負い、逃げる様に住まいを変え、東京の片隅で一人暮らしていた。
その頃、古来より人に寄り添い生き続けている妖怪・オンバケたちから選ばれた数匹は、長老・ジュウゾウの密命により東京にやってきた。
人から受けた悲しみに耐えて生きるカノンと、人から受けた愛に報いるために生きるオンバケたちが出逢う時、伝説の“ ブジンサマ ”を巡る、祈りにも歌にも似た、二一世紀の御伽話は始まるのだった。


・・・って感じ、実際の番組オープニングナレーションでは「御伽話」とは言わず「これは21世紀の寓話である。」と明言してます。
「寓話」とは、道徳的な教訓を伝えるための短い物語・たとえ話、しばしば、動物などを擬人化した登場人物とし、不可解で神秘的な印象を与えることが多い。
自分自身と人間への信頼そのものが揺らいでしまった若い女性の再生物語を、「21世紀の寓話」であって「リアル」ではないと、さりげなく突き放して言い放つ所が、凄いと言うか哀しいというか、、。

ところで「人情厚い田舎から東京砂漠へ上京したおぼこい娘が」なーんてゆー設定は大昔からあるんだけれど、実際、内実的にはこの設定、今もかなり有効かも知れないと思うんですよ。
ドラマの中でも主人公のカノンが、周囲の人間の身勝手さにどんどん傷ついていくエピソードが何回も挿入されるんだけど、他人の自転車を平気でパクっていく奴や、コンビニの玄関にある傘置きに傘を差したら出るときにはもうないとか、落としたコンタクトを一緒に探してやろうとしたら「邪魔しないで、もし無くなったらあんた弁償してくれるの!」とか言われたり、妙にリアル過ぎて笑ってしまうぐらい。
で「大魔神カノン」では、その他「オヤジ狩り」のシーンを挿入したりしながらこのリアルさを、とことん追求する反面、一方で人に愛された器物や動物が化けた妖怪であるオンバケを投入してくるんです。
「恩で化けた」ところからオンバケ、自身に命を与えてくれた人間にとても感謝してて、その恩返しとして陰ながら人助けをしてる・・なんてあり得ない設定でヒトの無慈悲・無関心との対比を徹底するわけですね。

第9話ではこのオンバケの過去が一人一人、紹介されるんですが、どれも魅力的です。
特に人間体となった「兜が転生したオンバケ」タイヘイがいい。
けっしてぶれないオンバケ特有の思考回路で主人公のカノンに絡んで来るんですが、その正体が「男」でも「人間」でもなく妖怪なのに、まさに「漢」。
それに逆変身したその姿はかなり仮面ライダー(ふんどししめてますケド、オートバイはスーパーカブですケド)。
まあタイヘイは一種の主人公なんでその魅力はオーソドックス、chika的には柴犬が転生したオンバケ・トモスケがM男君ぽくて好き、ってかこのトモスケ 、オンバケだってゆー前提があるから、わけわかんないほどの「あどけなさ」が許されるんで、本当の男性だったら「キモイ」とか言われてそう。
そうそう、殿方には金魚が転生したオンバケ・イケチヨがお勧め。
最初、ド派手なエロケバメイクに目がくらんでイケチヨの中のヒトが長澤奈央ちゃんだって判らなかった。
イケチヨの、どっかの温泉街にあるストリップ劇場の踊り子さんが身にまとうようなコスが生々し過ぎるんだけど、これもトモスケと同じで、その正体が金魚妖怪だと判れば不思議と自然に感じられるからビックリ。
あと男性ファッションモデルみたいなザリガニだとか、体操のお姉さんみたいな女鷹妖怪だとか、、。

まあここまで紹介したら敵役って事なんだけど、「イバダダ」っていーます。
純粋な悪霊でその内面世界を表すのに「親殺し」の息子を使ってみたりとか、単なる「怪人」じゃないと言うのか、主人公側の心を浮き彫りにするために並置されているってゆー点では、構造的に、高寺プロデューサーや脚本の大石真司氏らが作り上げてきた『仮面ライダークウガ』『仮面ライダー響鬼』のそれと同じですね。
ラストにはこのイバダダと懐かしの大魔神様が一大大決戦をすると思うんですが、それは最後の最後、まあタイトル的には詐欺みたいな話です(笑)。
今のところ実態を見ると、この番組タイトルは「仮面ライダーカブト タイヘイ」でしょう。
前にも少し書きましたが「大魔神カノン」は『仮面ライダー響鬼』の形を変えた続編としか思えず、それ故に、中途半端な状態で終わった『響鬼』ファンのchikaとすれば思い入れも大きいんです。
ただ「違い」もあります。
仮面ライダー響鬼』や『仮面ライダークウガ』には、どこかに「こんな世界があったら、こんな人間が生きている世界があったら」みたいな願いがあったような気がするんですよね。
だから特撮世界を出来るだけ現実に引き込もうと、塗り込もうと努力してた気がします。
それに対して「大魔神カノン」は、男に二股をかけられ騙された挙げ句に自分の故郷の歌まで盗作されてしまった田舎娘なんてゆー現実に、オンバケ妖怪なんて日本昔話的な存在を無理矢理にでも突っ込むという手法をとっています。
オンバケも大魔神も「夢」だと、ただあるのはイバダダに見られるような人間の悪霊とそれでも生きていくしかないカノン、つまり貴方という存在だと。
主人公カノンが再生していく過程に寄り添うっていくタイヘイ達が愛おしく感じられて仕方がない。
「もしこんな人たちが本当にいたなら」・・そう思うんだけど、彼らは人間ではないし、作品の根本自体が「これは21世紀の寓話である」と言い切っている。
つまりタイヘイ達は「いない」んですね。そういう前提の中で敢えて物語が進んでいく。
これは切ない、可愛くて本当に切ない物語なんです。

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!