saienji's blog プププのプゥだぜぃ

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

バリ人VSジャワ人(後編)

 前回のバリ旅行では訪れる事の出来なかったブサキ寺院にどうしても行きたいという思いがあって、それを叶えるために今度の旅行があった。バリとchikaを引き合わせてくれたのはお亡くなりになった中島らもさんの「水に似た感情」で、この小説の中に登場する山の天辺のお寺が心の中でずっと引っかかっていたのだ。実際の所、それがブサキ寺院なのかどうかは判らないのだが、少なくともchikaの頭の中では、そのお寺が今日これから行くブサキ寺院なのだ。

 このオプショナルツアーのガイドさんは、chika達を一番最初に空港からホテルに送り届けてくれた人物だった。名前を「一人っ子」と言う。一番最初の自己紹介の時に弾みで自分は一人っ子なのでという言葉がぽろりと出た時点で、chika達は彼の事を「一人っ子」君と呼ぶ事にしていた。
 国は違っても「一人っ子」というのは何となく独自の雰囲気があるようだ。しっかりしているように見えて甘えたで、気が回るように見えて気が回らない。それはたぶん兄弟という同世代の人間との切磋琢磨より、親という大人との兼ね合いをより濃厚に訓練付けられた人間の宿命なのだろう。

 ブサキへの道のりは、前回のバリ旅行で想像していたよりもずっと短かった。他の観光地とのセットでは結構ハードなスケジュールなのだろうが、ブサキ一本なら朝からでかければヌサ地区からでもかなり余裕のある行程のようだった。
 先に書いてしまったけれどアタ製のバリ駕籠を製造販売しているアシタバ本店だとかウブドの芸術村に立ち寄っていける程なのだから。
 その道中、相方が一人っ子君に、ジャワのツアーガイドだった「なぜならば」君の名前を出して彼が君の事を知っていたよと話しかけたら、一人っ子君は鼻で笑っていた。
「確かに知り合いだけど、その名前、ジャワ人なら5人に3人はそうだよ。」とまあそんな感じ。
「あれをご覧、バリで土方みたいな仕事をしてるのは殆どがジャワ人なんだ。バリ人はそんな仕事はしない。バリの多くの人々は観光業かこれから行くウブドなんかにみられるようなブラブラ人なのさ。」
 一人っ子君は笑いながら、chika達のワゴンと平行して走るトラックの荷台に鈴なりになっている労務者風の人々を指してそう言った。 
 物腰自体には全然悪意が感じられないのに、何故か相手を「切って」しまう。一人っ子君はそういう人物なのかも知れない。

 そしてこの日chikaは、バリで初めて交通事故を起こして道路にへたっているおじちゃんオートバイライダーを発見した。誤解を生じるかも知れないが少し嬉しかった。
 だってあんな無茶な走り方を続けるオートバイが事故を起こさないというのはどこか変だと思っていたからだ。(この感覚はバリに行かれた方なら共感して貰えると思う)
 更にそこから800メートルほど進んだ頃、今度はひき殺された野良犬の死骸を見つけた。これも不謹慎ながらホッとした。
 だって島じゅうにいる野良犬が人や車に対してなんの警戒心ももっていないのだから、いつか車にひかれて当然なのに、そんな場面に出会ったことが全然なかったからだ。
 ちなみにバリでは都心部から離れるとオートバイには制限時速がかせられないし、乗員員数は4人までOKだそうだ。
 一人っ子君は嬉しそうに言う。「こんなに見えても交通事故はないんだよ。」だってchikaはその交通事故をさっき見ちゃったもん。「でも、あそこでおじいさんが、警官に捕まってるよ」と目敏い相方は反証するように言う。
「ああ、あれはね、ヘルメットの紐を締めていなかったんだよ。日本円で言うと1000円ぐらいの罰金だよ。」「えーっ、日本円で1000円って、おじいさん可哀想、、。」 確かにあんな無茶な運転をする人々が、全員ヘルメットを付けて顎ひもをしっかり閉めているのも七不思議の一つだった。バリっ子と混じって道をブイブイオートバイで走っている不良外人どもでさえそうなのだ。おそるべしバリルール。
 渋滞時に群がり寄ってくる新聞売りの存在など、バリの交通事情は話のネタが満載なんだけど次に進めないから、この辺でおいておこう。

 ウブドの芸術村ではおちんちんのさきっちょが、蓮の茎と葉っぱになった不思議な絵と、墨で細密画をかく柳楽優弥君みたいな少年を発見した。特に上半身裸で絵を描いている少年のは眼福ものでしたよん。
 芸術村を通過してマイクロバスはどんどん高度を上げていく。途中、ライステラスが見渡せるレストランで、今ではすっかり食べ飽きたバリ料理と一人っ子君お勧めのバナナフライを食べていよいよブサキ寺院へ。

「これからブサキ寺院に行くけど、あそこのおばさん達は結構うるさいからね。気を付けること。サルーンを買えとか言って来るけど、レンタルで済ませるから買っちゃだめだよ。それに子どもの写真は撮らない、お金をせびられるからね。子どもが花を付けてやろうって言って来てもだめ、同じ理由。」
 これにはちょっと吃驚した。ジャワの「なぜならば」君はこんな注意は一切しなかったし、chika達に群がり寄ってくる物売りには一切見て見ぬ振りをしていたからだ。
 ワゴンが駐車場についた途端、子ども達がわらわらとやってきた時、二度目の驚きが待っていた。
 chika達に注意をしてくれた一人っ子君が集まって来た子ども達を笑顔で迎え入れたのだ。勿論、サルーンはchika達の分をレンタルしてくれてトラブルを排除してくれた上での事だ。どうもこの一人っ子君はかなりの子ども好きらしい。
 相方はこの発見で随分、一人っ子君を気に入ったようだ。確かにブサキ寺院のガイドにしたって、これが「なぜならば」君なら、その歴史から世界観まで熱く語ったに違いないのだが、一人っ子君は要所しか喋らず、世間話の比重の方がずっと高い。
 ちなみに一人っ子君の顔は若き日の森田健作をおもっきり黒くして丸め、目鼻立ちを濃くしたような顔をしている。

 ブサキ寺院は良かった。「良かった。」としか言いようがない。言葉で説明したって遠くなっていくだけだから、ここでは書かない。
 たぶん良くできた写真を見ても、本物は伝わらないだろう。
 普段、観光地に行っても「風景」にはあまり感動しない相方が、ブサキの割れ門を上り詰めた高台から見えるバリの光景に思わず拍手を送ったのには吃驚した。
 あまりにもローカルな比喩で申し訳ないのだけど、この高台の高さは、奈良の若草山に登って奈良の街を見下ろす程度の高低差しかないし、見えるもの言っても寺の屋根と緑濃い森だけなのだが、それらから空に立ち上っていく自然のオーラが、明らかに日本のそれとは異質なのだ。
 本当にこの感覚ばかりは言葉では表現するのが難しい。
 昔、高名な外国人の写真家が写した日本建築の写真集を見たことがあるのだけれど「こんな風に綺麗に見えるんだ」ってその違和感に驚いた事がある。それによく似た感じだ。
 善と悪が等価で混在する世界の森が、バリでは未だに生きているという事だろうか。

 なにげにテレビをみてたら「大阪環状線Bグルメ」みたいなのをまたまたやっていた。焼き肉・たこ焼き、、、好きやなぁ、、何回特集くんどんねん。
と思っていたら新世界ロケで「アホの坂田歩き」でテレビ画面に入ってきた女性が一人。大西ゆかりやん。せやけど一応、ポップシンガーやで、、大西ゆかり、アホの坂田照れんとやるか、、。
でちょっと視線をずらすと、岐阜市長の細江氏に握手拒否された佐藤ゆかり、、もしこれが大西ゆかりやったらその時どんなリアクションをして見せただろうか?
蝦頭にも書きましたが「佐藤ゆかり萌え」はあり得ても「大西ゆかり萌え」は金輪際ないっ!!これがヒント!!

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!