たかが5万ルピーされど5万ルピー
全国、百万人のchikaファン(いるのか、、汗)の為に今日から6日間、一日一話形式にて、ここ「プププの劇場」でバリ珍道中記を展開しちゃいますよー。総集編はSMfって事で。そんじゃ。
多くの人間が、心の内で「自分は信念を持っている」と思っている。だがそれは幻想かも知れない。その信念の強さが試される場面は、そういつもあるわけじゃないから。
信念とはある意味、徐々に熱くなっていく鉄球を我慢して手に持っているような状況に近いのかも知れない。
そこには絶対値などなく、相対的なものしかない。ある者にとっての微熱はある者にとっての灼熱なのだ。
出発の朝、空は「夏特有の朝曇り」と言いたい所だが完全な曇天で、もうすぐ雨が降り出しそうだった。けれどリムジンバスが空港に向かう道路状況は良好だった。
リムジンバスにはペアの外国人客が多かった、彼らも里帰り?でもいちゃつきすぎだ。
道ばたで犬コロがさかっていても、通行人はそれを避ける自由があるけれど、狭いバスの中では何も出来ない。彼らに挟まれた形の中学生ぐらいの女の子はちょっと可哀想だった。耳に付けたイヤホーンでは彼らの痴態は遮断出来ないだろう。
でも「自分たちの事しか見えない病」は恋をした外人さん特有のものかなと思ったんだけど、みんなが見てるのに空港の待合室のテレビのど真ん前に座りこむ中年カップルは日本人だったし、、、。わかんねぇですこの病気の根元は。前回のバリ旅行では山手のウブドが中心だったけれど、今回はバリ島の南部のビーチリゾート・ヌサドゥアに泊まる事になる。
旅の第一目的がジョグジャカルタ近郊に残る世界遺産ボロブドゥールにあるからだ。
その他、プランバナン寺院やブサキ寺院と言った前回訪れる事の出来なかったビッグネームを訪れるつもりだ。勿論、買い物好きな相方の為に概訪のレギャンやスミニヤックも外せないだろうけれど。
ガルーダ航空のジャンボ機は日本人客でほぼ満杯。三時の機内軽食でサンドイッチとおにぎりが選べるのには驚いた。日本人強し。しかし台湾上空で食べる泉大津市のコンビニおにぎりって不思議な感じ。今回chika達が泊まる事になったヌサ地区は観光客と地元住民を隔絶する方針で成り立っている珍しい(chikaにとっては?)場所だ。実際、ヌサ地区に入る中央ゲートでは車は一台一台止められて映画で見るような検問を受ける。
「夜ご飯は南ゲート近くのヌラヤンってゆーシーフードレストランに行こうよ。」
「どうやって行くの?」
「歩いて二十分くらいだと思うよ。」
「えーっ。こんなに暗いし歩くのやだよー。タクシー乗っていこうよ」
後から考えるとこのやりとりが総てのトラブルのはじまりだった。
方針も決まらずホテルの玄関まで行った途端、相方がなにやら森進一を厳つくしたようなボーイさんとやりとりとしていて「歩いていくなんてとんでもない、俺が車呼んで案内してやるって。」
「いいじゃん、歩いていこうよ。バリってそんなに危なくないしヌサの中は特に安全だよ。」
それにchikaも一応男だしとは言わなかったけれど、、、。そんなやりとりとしてる内に車がやってきて結局、くだんの角・森進一さんが同乗して出発。
車の中でも角・森進一は上機嫌であれやこれやと早口でまくし立てる。で聞いているとジンバランの屋台が世界一だから俺が今から案内してやろうとか、おいおい待ってくれ、誰がジンバランに行くって言ったよ。
「ノー。ノー、ジンバラン、アイムゴーツー・ヌラヤン!!」って大きな声で三回位言ってやっと角・森進一が諦めるって感じ。
実際、車が途中で道を大きく迂回したから本気でジンバランの屋台に連れていく積もりだったんだろう。
結局、指定したレストランについたんだけど降りた途端に「マネー」と露骨な催促が来る。
車代かと思ってハウマッチとやると指を5本立てる。5千ルピーかと思って、相方が財布の中を開けると角・森進一が覗き込んで「ノーノー、これと同じ」と言って自分の財布から5万ルピーを抜き出して見せる。
5分も乗ってないのに「えー」と思ったけれど、この頃はまだ二人とも、頭の中に換算機能が働いていないのでしぶしぶ支払ってしまう。ヌラヤンでは炭火焼きのセットメニューを、オーダーした後、さっきの5万ルピーが妥当な額かどうかを相方と徹底討論。
スナックパインや西瓜にライムをかけながら「5万ルピーあればここのメインディッシュが一皿頼めるものね。」「第一さっきの車はタクシーじゃないし、ホテルのでもないみたいだよ。」
「・・でもこれ果物にライムをかけるのって面白いよね」「西瓜に塩をかけるのと同じじゃん?」
「でもさ5万ルピーって騒いでるけど日本円にすれば子どもの駄賃にもなんないよ」
「そーゆー問題じゃなくてさ、、えっ嘘〜このナシゴレン、、美味しい、、なんでこんなに店によって味が違うのよ。ナシゴレンって。」
とか言いながらヌサの夜は更けていくのだが、レストランに帰りの車を手配してもらって、新しい事実が判明した。
このレストランとホテルの間の送迎は完全無料なのだそうだ、、、そして、、chika達を迎えに来た車のスタイルは、まんま、あの角・森進一が手配した車そのものだった。
「ムカツクー。今度あったら絶対文句言ってやっからね。」と相方、、「でもバリ人ってみんな同じような顔してるし、今度会ってもどいつがあの森進一もどきかchika見分けられないよ、、。」
実際このホテルには4泊したのだがあの角・森進一に再会することは二度となかったのだ、、。
ってな事で明日はバリ着2日目「バリ人VSジャワ人」の心だ〜。