saienji's blog プププのプゥだぜぃ

ニューハーフな心で世界をおしおきよ!!

夏の日、弟の部屋を掃除する

たまに弟の部屋をお掃除してあげる。彼はやもめ暮らしにしては非常に清潔な部類に属する人で、その部屋には殆ど生活臭というものがない。
まあ連れ合いに逃げられてからこの部屋で生活らしい生活をしていないのだからこの清潔さは当然の帰着のような気もするが、、それでも男の乱雑さは一種の宿命のようなもので、窓のレール受けの埃とか収納ボックスの裏側だとか、やはり気になるのだ。
先日などはほんの少しで止めておく積もりが大汗をかくほどお掃除に熱が入ってしまって結局、彼のバスルームを使わせて貰う羽目になった。
弟の家はこういう時に便利で着替えの下着や衣服には、若干のサイズ違いや防虫剤の匂いや逆に新品臭ささえ気にならなければ全然不自由しない。汗くさくなった服を着なくて済むし頼りないメイクで外に出なくてすむ。
ちょっと仕上がりがきつくなるけれどコスメだってフルコースで揃っているからだ。弟の女装歴は年期が入っているし、逃げていった連れ合いに至ってはchikaと同じプロだから、弟の部屋でのメイクに関しては場所だけが変わっただけという感じになる。
もっとも弟は連れ合いに出て行かれてから殆ど女装をする気が失せているようでそのコスメコレクションも相当にぬるい。
ぬるいと言えばバスルームで実にぬるい詰替用のシャンプーボトルを見つけた。旅行に行くと何処の土産物売場でも見かけるんだけれど比重の違う二つの液体を密封して中にイルカとかヨットだとかのミニチュアを浮かべる例の玩具が、そのシャンプーボトルの底に組み込んであるのだ。バスタブに浸かりながらなにげにその玩具部分を透かしてみると、ぐねぐねと動く青い海の上で踊っているのはヨットでもサカナでもなく、鉢巻きをしたいなせな、にぎり寿司野郎とおめめぱっちりの米子さんだった。
不思議な事にこの二人、背中合わせになったまま離れる事もなく比重の違う二つの液体の中でゆらゆらとダンスを踊り続けるのであった。
お風呂から上がって髪の毛を乾かしながらその話をすると、弟は照れたようにこんな話をしてくれた。件の連れ合いと回り寿司を食べに行った時、皿を回収口に入れるとまとまった回数毎に景品が当たる仕掛けがあったそうで、その日の景品がchikaの見たシャンプーボトルだったらしい。本来整理ダンスの奥深くに眠っていたのだが、ある日、部屋の整理をしているとそれが出てきて妙に懐かしい気分になって、それを使う気になったとか、、。
その話を聞きながら「女々しい」とはそれこそあんたの形容詞ねと言いかけて、辛うじてそれを堪えた。
chikaが言うのもなんだけれど弟は凄く芯の強い人間で彼の唯一のウィークポイントがその奇妙な恋愛観だからだ。
思えばchikaはこの弟に多大な影響を受けて来たわけで、、chikaには弟を貶す権利は何処にもないのだった。
でもあのにぎり寿司野郎と米子さんのダンスはいつまで続くんだろうか、、。そんな事を考えたある夏の一日だった。

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